yuuki_yoshino’s diary

ようこそ。自作の詩・随筆・小説・楽曲を置いておきます。

カントについて

カント曰く、「外的世界そのものを捉えることは、人間には出来ない。」

 人間は自らの直観(知覚)を外的世界そのものであると信じ込んでいるのだが、直観が外的世界と一致するという根拠はない。直観=外的世界であるとみなすのは人間の習慣であって、真偽の判断は保留するほかない、というわけだ。

 また、我々は直観をある形式に沿って整理し、外的世界に関する認識(個人にとっての現実)を形作るわけだが、その形式は生得的なものであり、人間に共通するものであると彼は言う。

 

 「現実に認識が従うのではなく、認識に現実が従うのである。」

 これは、カントによる認識における「コペルニクス的転回」を良く表している一節だと言われている。

 

 要するに、我々にとっての「現実」とは、悟性が直観を整理して形作った間主観的なもので有って、外的世界そのものを映しとったものでは無い、と言うことである。

 

 結論、我々がいくら世界の成り立ちについて統一的な見解を得ようと目論んだところで、一般的に「認識≠外的世界そのもの」であるという壁が立ちはだかり、それは自らの認識の吐露以上の何でも無いということである。