yuuki_yoshino’s diary

ようこそ。自作の詩・随筆・小説・楽曲を置いておきます。

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

自由広場の乱暴者

疲れ果て 本能そのものとなるとき筆が乱れる 俺を軽蔑する眼の中で筆が乱れる 新幹線に乗って俺が祝福される場所へと向かおう皆、のほほんと笑っていれば良かったあの頃に帰ろう誰も俺を罵らない あの場所へ 木々には美しい果実が実り草の広場は人が踏み馴ら…

芸術とエンタメ

流行とか常識は同じものを指している。ただ、相対的に持続する時間が常識の方が長いだけである。人が愚かであるか賢明かを判断する1つの指標は、その人の持つ認識が、どれほどの長い期間で通用するかということであろうと思う。作品の良悪もまたそうだ。作者…

映画「No Country for Old Men」を観て 5/5

モスが従った欲求は本能的なものであり、ごく自然なものである。ただベルと異なっているのは、退屈しのぎに怪しいことに手を出さないとか、今自分が持っている生活や資産に満足するとかいった賢明さを彼が欠いていたということである。 ほとんどの現代人とは…

地下鉄の階段を下りて

混乱の中 様々な妄想が浮かんでは消えた 目前にしている状況を整理することができず 夢と現実の境が失われている 目黒の天気は曇り 今にも降り出しそうだ 傘を置いてきた 一度 辞めたらどうだろう 人生を? そんな無茶な 初夏らしくもなく 寒々としてる 火照…

映画「No Country for Old Men」を観て 4/5

ベルは年老いた保安官だが、この世界に「理解できる」秩序を取り戻そうと闘う。しかし、冒頭の彼の語りで言明されている通り、若いころのような燃える情熱はもう失われつつある。彼は事件への介入に消極的だ。理解できない犯人の行動原理に対して成す術が無…

映画「No Country for Old Men」を観て 3/5

カーソン・ウェルズ。彼はどこか調子外れではあるものの、社会欲に突き動かされて行動している。つまり、自らの有能さであるとか、立ち居振舞いの優雅さで人々から高く評価されたいと望んでいるのだ。彼がシガーを雇ったボスと契約を交わした後に言った、ビ…

映画「No Country for Old Men」を観て 2/5

ベルがシガーとの肉薄に至る直前、カフェで別のベテランの警官と話す場面は印象的だった。二人は、近年の理解できない犯罪の原因について「若者が敬語を使わなくなった結果がこれだ」と共感する。つまり、伝統的な価値観を敬わなくなったことが原因だという…

映画「No Country for Old Men」を観て 1/5

アントン・シガーは絶対的な悪である。カーソン・ウェルズが言ったように、人間社会に普遍的な論理から逸脱している。シガーの行為の動機は自らの経済的合理性ではなく、また社会の中で高く扱われることでもない。シガーにとっては、自らの精神的な態度を行…

カフェ・ジョバンニ

パスタをひとりでくるくる巻いてても 寂しくないからこの街は いい あいつはどうしたの と 噂話も聴こえない 夕涼み 銀の扇が光る 疲れ果てたなら 逃げたいなら おいで カフェ・ジョバンニ ひと時の錆びつく言葉と 捉えどころのない 私 このコーヒーいい香り…