yuuki_yoshino’s diary

ようこそ。自作の詩・随筆・小説・楽曲を置いておきます。

たんぽぽ 4

 私は今になって、あのたんぽぽの姿をありありと思い出すことができた。恐らくは、明日に一日予定が無く、私には家庭が無いので後先を考えなくて良いことや、三杯目のウィスキーのストレートもほとんど空にして、脳の外側の理性が眠りはじめていることがその原因であろうと思われた。今や、私は周辺の状況がもたらす刺激に対してごく素直に振舞うことができるようになっており、そういった私の行為は周辺の人々にとって正の効果を及ぼしているように感じられた。私は流行りの歌をリクエストされたので、それを歌った。男性が歌うにはやたら高い音程の曲で、特別の訓練もしておらず、酒の影響で声帯がむくんでいた私は、苦しい発声を余儀なくされた。だが周囲の反応は芳しいものであった。不思議なことに、私が納得する自らの行為には昔から不興が付きものなのであった。逆に、私が苦手なことや自分の意志に関らずそうすることを余儀なくされた行為に対して、周囲は芳しい反応を示すのだった。