yuuki_yoshino’s diary

ようこそ。自作の詩・随筆・小説・楽曲を置いておきます。

目線 1

 私は勤勉と怠惰の間を行ったり来たりしていた。勤勉においては、自らと自然の間で事が運んだ。怠惰においては、道具的連関から逃避した。

 だがしかし、ずっとずっと終始一貫してきたのは、私の真実への目線である。私は、真実だけはいつもないがしろにしなかった。むしろ、私の真実への配慮があの怠惰を生み出していたのだ。私は道具的連関の中で戦いたくはなかった。それはとても空虚な戦いだったからだ。私はただ宇宙に生き、眺める個人で有りたかったのだ。その拘りからはどうしても逃れられない。

 バットが重力を得ながら、私の肉体に先導されて風を切る。私の喉から、思ってもみなかった声が出る。街を歩けば、ふとした拍子に映画になる。そういった原体験そのものが私にとって真実への手掛りなのである。道具的連関の中へ飛び込んでゆけば、私はただ自らの立場を守る為に、或いは地位を高める為に常々思ってもいないことをしたり、考えてもいないことを言ったり、とにかく真実というものが社会的偏見の中に全く塗り替えられてしまい、私自身も又そういった認識に染まって、混沌の中における私の無力を感じるばかりなのであった。